虐待防止のための指針
当法人事業所の人員、施設及び運営に関する基準省令35条の2に基づく虐待防止のための指針を以下のように定める。
1.事業所における虐待の防止に関する基本的考え方
高齢者に対する虐待は、高齢者の尊厳を脅かす深刻な事態であり「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」(高齢者虐待防止法)に示すとおり、その防止に努めることは極めて重要です。当法人では、同法の趣旨を踏まえ、また介譲保険法が掲げる「尊厳の保持と自立支援」という目的を達成し、当法人が掲げる理念「在宅における利用者・家族の生活ニーズを発見し、可能な限り自立した生活を営むことができるよう支援する」を実現させるため、虐待の未然防止、早期発見・迅速かつ適切な対応等に努めるとともに、虐待が発生した場合には適正に対応し再発防止策を講じます。そのための具体的な組織体制、取組内容等について、本指針に定める
なお、高齢者虐待防止法の規定に基づき、当法人では「高齢者虐待」を資料1のような行為として整理します。また、介護保険法にも人格尊重義務がうたわれていることや、当施設法人のサービス内容及び社会的意義に鑑み、当施設職員による虐待に加えて、高齢者虐待防止法が示す養護者による虐待及び、セルフ・ネグレクト等の権利擁護を要する状況、ならびに虐待に至る以前の対策が必要な状況についても、「虐待等」として本指針に基づく取り組みの対象とします。
2.虐待防止検討委員会その他事業所内の組織に関する事項
(1) 虐待防止検討委員会の設置
人員、設備及び運営に関する基準省令35条の2に基づき、虐待等の発生の防止・早期発見に加え、虐待等が発生した場合はその再発を確実に防止するための対策を検討することを目的として、「 虐待防止検討委員会(以下、委員会)」を設置します。
(2) 委員会の組織
委員会の構成員は、各所属の代表者とし、代表者は 2 年任期とします。また、外部有識者として顧問弁護士及び社会福祉士等の専門職を構成員とし、必要に応じて委員を任命することとします。これらの外部有識者を積極的に採用するように努めますが、必要に応じて、地域包括支援センターや高知市基幹型地域包括支援センターに相談・助言を求めます。
委員会の責任者として委員長、副委員長を置き、両名を「虐待の防止に関する措置を適切に実施するための担当者(以下、担当者)」とします。その他、各構成員の役割は下表のとおりとします。
構成員 |
役割 |
責任者 |
代表理事:松澤 亮 統括管理者:安岡 しずか
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委員長 |
居宅介護支援事業所(主任):植田 五美
虐待の防止に関する措置を適切に実施するための担当者
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副委員長 |
訪問看護ステーション(主任):野島 真由美
副委員長虐待の防止に関する措置を適切に実施するための担当者
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各所属委員 |
ヘルパーステーション(管理者):前田 美樹
相談支援専門員:西村 貴裕
虐待防止対策の周知・進捗管理
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看護職員の代表者 |
訪問看護ステーション(主任):戸梶 隆司
医療的ケア等に関する検討
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外部有識者(医師・弁護士・社会福祉士等) |
第三者かつ専門家の観点からの助言 |
(3) 委員会の開催
委員会は、委員長の招集により年間計画に基づき、年4回以上開催するとともに、必要に応じて随時、開催します。また、定期開催分については、身体拘束適正化委員会との共催(毎回)とします。併せて、年1回以上、法人内の各事業所の虐待防止検討委員会と共催します。
重大な虐待事例が発生した場合は、24時間以内に臨時委員会を開催し、対象者の安全確保、改善に向けた対応方法等を検討します。
委員会は、集合形式を原則とするが、必要に応じてオンライン等を活用して行います。その際、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守します。
(4) 委員会における検討事項(所掌事項)
委員会では、以下の項自について検討を行うとともに、必要な取組事項を決定します。
① 虐待防止検討委員会その他事業所内の組織に関すること
② 虐待の防止のための指針の整備・見直しに関すること
③ 虐待の防止のための職員研修の内容及び企画・運営に関すること
④ 虐待等について、職員が相談・報告できる体制整備に関すること
⑤ 従業者が高齢者虐待を把握した場合に、市への通報が迅速かつ適切に行われるための方法に関すること
⑥ 虐待等が発生した場合、その発生原因等の分析から得られる再発の確実な防止策に関すること
⑦ 前号の再発の防止策を講じた際に、その効果についての評価に関すること
⑧ 虐待事例が発生した場合は、委員会で事例検討を行うこと
(5) 結果の周知徹底
〈委員会で検討すべき具体例〉
◉早期通報(通報先は地域包括支援センターまたは市役所)が行われたかどうかの確認
◉事例検討
〇家庭内の虐待(養護者による虐待)の事例検討
〇養護者以外による経済的虐待の事例検討
〇当該事業所職員による虐待(養介護施設従事者等による虐待)の事例検討身体拘束を行なった事例検討
事業所から医師に行動抑制目的に鎮静剤投与を依頼した事例検討
〇虐待に至らないグレーゾーンの事例検討
〇虐待かどうかわからないが虐待が推測される事例検討
〇現在進行中のすべての事例を、繰り返し、定期の委員会に議題として提出する。又、終了した事例に関しても、今後の虐待防止に資すると判断される場合は議題とする
◉事業所の事例対応の適切さに対する評価と助言
◉事業所の高齢者虐待防止のための指針及びマニュアル等の作成・改定
◉研修会の開催(市や地域包括支援センター等が行う研修会への参加で代用可) 研修を事業所職員全員が受けられるよう配慮する。(市や地域包括支援センター等が行う研修会のアーカイブ等の視聴で代用可)。
◉ヒヤリハット報告書の記載内容の分析と対策の検討
委員会での検討内容及び結果、決定事項等については議事録その他の資料を作成し、各所属委員及びフロアーリーダーにより回覧するなどして周知徹底を図ります。
3.虐待の防止のための職員研修に関する基本方針
経験が豊富で技能が高い職員ほど、虐待事例・困難事例に適切に対応できます。それゆえ、全職員の介護技能の研鑽が重要となります。一方で、優れた職員であっても、利用者に対して虐待を行う可能性があり、経験者でも内省が必要となります。これらのことから、高い介護技術の獲得と内省する機会として全職員を対象とした研修会を実施します。研修会は、本指針に基づき、研修プログラムを作成し計画的に実施します。 職員が相談・報告できる体制整備を行い虐待の防止のための委員会運営を行います。
(1)定期開催
全職員に対し、年1回(11月頃)の研修会を実施します。なお、高知市高齢者虐待防止ネットワークの発行するマニュアルを活用します。県や市、地域包括支援センターが行う「高齢者虐待」や「権利擁護」に関する研修会への出席をもって、定期開催の研修会の参加とすることもできます。
定期開催の研修会に参加していない、参加できない職員には、高知市基幹型地域包括支援センター 高齢者虐待防止ネットワークのホームページ上にある「養介護施設従事者等による高齢者虐待防止に向けた研修動画」の視聴をもって、研修会に参加したものとします。
①新規採用時
職員の新規採用時には、新人職員研修カリキュラム内に定め、虐待等の防止を図るための研修を必ず実施します。
②外部研修会へ参加
県や市、地域包括支援センターが行う「高齢者虐待」や「権利擁護」に関する研修会に職員が参加できるよう、業務の調整等を行います。また、全職員が高知市基幹型地域包括支援センター 高齢者虐待防止ネットワークのホームページ上にある「高齢者虐待防止に向けた研修動画」の視聴ができるように配慮します。
(2)研修内容
研修内容は以下のものを基本とし、詳細は虐待防止検討委員会により定めます。
①自身の介護状況の振り返り
②虐待等の防止に関する基礎的内容等の適切な知識
③本指針及び「当法人虐待防止対応マニュアル」の内容に基づく取り組み方法
④虐待通報義務の履行、ならびに虐待等に関する相談・報告の方法
⑤委員会の活動内容及び委員会における決定事項
(3)研修記録
研修の実施回ごとに、当施設統一様式により研修実施記録を作成し、使用した資料とともに、記録薄ファイルに綴り、文書管理規定に則り保管・管理します。
(4)研修内容の周知徹底
研修内容の周知徹底をはかるために、研修の開催日・時間帯等について委員会で検討し、参加率向上に努めます。また、研修ごとに参加率を算出して委員会内で評価するとともに、欠席者に対しては各所属委員により伝達し、その結果も研修記録に含めます。
〈委員会で検討すべき内容〉
〇家庭内虐待(養護者による虐待)の事例検討
〇養護者以外による経済的虐待の事例検討
〇当該事業所職員による虐待の事例検討
〇身体拘束を行った事例検討
〇虐待に至らないグレーゾーン事例検討
現在進行中のすべての事例を定期の委員会議題として提出する
4.虐待(虐待の疑い)等を発見した場合の対応方法に関する基本方針
(1)市町村等への通報
虐待を疑う場面に立ち会い、虐待と認められる行為等を発見した場合、通報義務が発生します(高齢者虐待防止法第7条第2項)。したがって、虐待が疑われる、もしくは、虐待を発見した場合は、速やかに下記へ通報する。その後、委員会の構成員もしくは、管理職に報告します。但し、委員会の構成員や管理職への報告は強制するものではありません。
なお、被虐待者の心身に深刻な影響や後遺症を生じる可能性の高い虐待事例に遭遇した際は、即時、警察あるいは救急車を要請してください。
また、通報者の秘密は守られます(高齢者虐待防止法 第8条、第23条)。 通報した際に、氏名等を名乗らないことも可能です。
通 報 先
介護保険課 事業係 (高齢者虐待に関する相談) |
TEL 088-823-9972
FAX 088-824-8390
|
高知市基幹型地域包括支援センター |
TEL 088-823-9121
FAX 088-821-6088
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虐待相談窓口 (障害者) |
TEL 088-822-4715
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目前で暴力が行われているとき 110番へ
医療がすぐに必要な病気やけががあるとき 119番へ
(2)施設内での報告及び対応
虐待の被害を受けたと思われる高齢者・利用者を発見し、高知市基幹型地域包括支援センター(または地域包括支援センター)に通報した場合には、速やかに委員会の構成員に報告します。この際、報告の方法・様式及び報告する委員会構成員は問わず、匿名でも行えることとし、報告を受けた構成員は、インシデント報告様式を使用してその記録を作成し、委員会委員長に報告します。(高知市のみに通報し、施設管理職・委員会等に報告しないという方法をとっても差し支えありません。) 報告を受けた委員長は、下記の対応もしくは対応の指示を適時適切に実施します。
①当該利用者の心身状況の確認・安全確保
②高知市基幹型地域包括支援センターへの通報の有無の確認及び必要と思われる場合の通報
③法人本部、家族等への報告(第一報)
④関係職員・フロアーリーダー等への事実確認、関係職員の勤務状況等の確認
⑤委員会の臨時開催及び原因分析、事後対応・再発防止策の検討及び対策の決定
⑥事後対応及び再発防止策の周知・実行
⑦関係者への報告(第二報以降適時)
⑧必要に応じた懲罰委員会への報告
⑨委員会における事後対応及び再発防止策の実行状況の確認・評価
⑩虐待事例の事例検討会の実施
(3)高知県及び高知市が実施する高齢者虐待等に係る調査協力
高知県及び高知市から、高齢者虐待等に係る調査協力依頼等があった場合には、速やかに協力します。
5.虐待(虐待の疑い)等を発見した場合の相談・報告体制に関する事項
(1)虐待が疑われる事例を発見した場合の報告体制
虐待等が発生した場合の相談・報告の体制は、本指針4の(1)、(2)、(3) に準じます。 なお、虐待かもしれない感じた事例を経験した時、虐待してしまったかもしれないと感じたときには、委員会に「虐待ヒヤリハット報告」をする必要があります。
(2)事故報告、ヒヤリハット報告の報告体制
事故報告ヒヤリハット報告委員会規則に従います。
(3)虐待が疑われるような、事故・ヒヤリハットの取り扱い
事故報告ヒヤリハット報告委員会は、自己報告及びヒヤリハット報告に虐待が疑われる事例が含まれていないかを確認をします。虐待が疑われるような事例を発見した場合は、本指針4の(1)、(2)、(3) に準じます。
6.成年後見制度の利用支援に関する事項
虐待等の防止の観点を含めて、成年後見制度や、その他の権利擁護事業について、利用者や家族等へ説明を行うとともに、地域包括支援センター、高知市成年後見相談室を適宜紹介します。 (成年後見制度の概要は、資料2を参照)
7.虐待等に係る苦情解決方法に関する事項
虐待等に係る苦情は、当施設において包括的に設置する苦情対応窓口において受け付けます。苦情対応窓口及び虐待対応については、重要事項説明書に示します。
受付担当者は苦情等の内容を精査し、虐待等に関係する内容が含まれている場合には、苦情対応責任者を通じて、委員会に報告します。
8.利用者等に対する当該指針の閲覧に関する事項
本指針は、利用者・家族、後見人、当施設に来所した方及び当施設の職員並びにその他の関係者がいつでも閲覧できるよう、施設内に提示する。
9.その他虐待の防止の推進のために必要な事項
(1)「当法人虐待防止マニュアル」の活用
本指針を踏まえて、改定された「虐待防止マニュアル」に基づき、日常業務における虐待等の防止に努めます。
(2)虐待防止担当職員の配置
各フロアー及び各課に虐待の防止に関する措置を適切に実施するための虐待防止担当者を配置します。担当職員は、委員会委員もしくは、主任職以上の職員とします。
(3)他機関との連携
県、高知市、県、市、及び他施設・他事業者との連携の機会及び同団体その他の機関が開催する研修会や情報交換等をする場には積極的に参加し、利用者の権利擁護に関わる研鑽を常に図ります。
10.本指針の改廃
本指針の改廃の要否及び改定する場合の改定作業は、委員会により実施する。
11.附則
この指針は、令和5年10月1日より施行する
【参考資料】
松戸市高齢者虐待防止ネットワーク
・虐待防止のための指針(資料1・資料2)
資料 1 高齢者虐待の種類
〇身体的虐待:身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加える
例)①暴力的行為で、痛みを与えたり、身体にあざや外傷を与える行為
②本人に向けられた危険な行為や身体に何らかの影響を与える行為
③本人の利益にならない強制による行為によって痛みを与えたり、代替方法があるにも関わらず高齢者を乱暴に扱う行為
④外部との接触を意図的、継続的に遮断する行為 など
〇介護等放棄:衰弱させるような著しい減食又は長時間の放置、養護者以外の同居人による虐待行為の放置等養護を著しく怠ること
例)①意図的であるか否かを問わず、介護や生活の世話を行っている者が、その提供を放棄または放任し、高齢者の生活環境や、高齢者自身の身体・精神的状態を悪化させている
②専門的診断や治療、ケアが必要にもかかわらず、高齢者が必要とする医療・介護保険サービスなどを、周囲が納得できる理由なく制限したり、使わせなかったり放置する
〇心理的虐待:著しい暴言又は著しく拒絶的な対応、その他の著しい心的外傷を与える言動を行うこと
例)①脅しや侮辱などの言語や威圧的な態度、無視、嫌がらせ等によって、精神的苦痛を与えること
〇性的虐待:わいせつな行為をする又はわいせつな行為をさせる
例)①本人との間で合意が形成されていない、あらゆる形態の性的行為、又は強要
〇経済的虐待:財産の不当に処分や、その他不当に財産上の利益を得ること
例)①本人の合意なしに財産や金銭を使用したり、本人の希望する金銭の使用を理由なく制限すること
資料2 成年後見制度
被虐待者が認知症、知的障害、精神障害などにより判断能力が不十分な場合、虐待を受けていても助けを求められないことがあります。このような障害をもつ方々が、とりわけ経済的虐待を受けやすい傾向にあります。このような場合、「成年後見制度」は被虐待者の権利を擁護するための有効な手段となります。
〇成年後見制度
成年後見制度には、高齢者等の判断能力によって、法定後見制度と任意後見制度のいずれかを利用することとなります。
①法定後見制度:判断能力が不十分な人の権利を擁護するために、家庭裁判所に申立てをし、本人の判断能力に合わせて選任された成年後見人、保佐人または補助人(以下成年後見人等とする)が本人を保護、援助する制度。
②任意後見制度:本人が将来を見据えて公正証書で結んでおいた任意後見契約に従って、本人の判断能力が不十分になった時に任意後見人が本人を保護、援助する制度。
〇成年後見制度の申立者
法定後見制度を利用するための申立ては、本人、配偶者、四親等以内の親族などが行うことができます。身寄りがなく、本人も申立てが困難なほど判断能力が低下している場合や、申立てができる親族がいても関与を拒否している場合などは、市区町村長が申立てをすることができます。
親族が虐待者の場合、「成年後見制度」の利用自体を拒否することがありえます。この場合は、『「成年後見制度」の活用が必要な状況にも関わらず虐待者や申立てを行うことができる4親等以内の親族が「拒否」または「存在しない」場合』に該当し、市長村長が申立人となることができます。しかし、被虐待者と虐待者の関係だけでなく、虐待者と支援者との関係も悪化させるリスクが高いことを考慮して対応します。
なお、成年後見人等の権限は、被虐待者の権利をすべて擁護できるわけではないため、できる限り「成年後見制度」の利用に関して虐待者の理解を得るたゆみなき努力が必要です。
成年後見制度に関するお問合せ先
・高知市成年後見サポートセンター 電話 088-856-5539
・高知市健康福祉部基幹型地域包括支援センター 電話 088-823-9121
身体拘束等の適正化のための指針
1.本指針の要旨
当法人における身体拘束等の適正化のため、本指針を定める
2.身体拘束廃止に関する基本的な考え方
身体拘束は利用者の生活の自由を制限するものであり、利用者の尊厳ある生活を阻むものである。利用者の尊厳と主体性を尊重し、拘束を安易に正当化することなく職員一人ひとりが身体的・精神的弊害を理解し、拘束廃止に向けた意識を持ち、身体拘束をしない支援の実施に努める。
(1)身体拘束及びその他の行動を制限する行為の原則禁止
原則として、身体拘束及びその他の行動を制限する行為(以下「身体拘束等」という。)を禁止とする。
(2)やむを得ず身体拘束等を行う場合の組織的検討について
事業所内でやむを得ず身体拘束等を行う場合、以下の3要件について身体拘束適正化検討委員会にて検討した上で実施するものとする。またその際、管理者、身体拘束適正化担当者を含む複数の職員により検討する。なお当該検討の際には、安易に緊急やむを得ないものとして身体拘束等を行わないよう、慎重に判断するよう留意する。
要件 |
具体的内容 |
切迫性 |
利用者本人又は他の利用者等の生命、身体、権利が危険にさらされる可能性が著しく高いこと。切迫性を判断する場合、身体拘束等を行うことにより利用者本人の日常生活等に与える悪影響を勘案し、それでもなお身体拘束等を行うことが必要な程度まで利用者本人等の生命または身体が危険にさらされる可能性が高いことを確認すること。
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非代替性 |
身体拘束その他の行動制限を行う以外に代替する方法がないこと。非代替性を判断する場合、まず身体拘束を行わずに支援するすべての方法の可能性を検討し、利用者の生命または身体を保護するという観点から、他に代替手法が存在しないことを複数職員で確認すること。また、拘束の方法についても、利用者本人の状態像等に応じて最も制限の少ない方法を選択すること。
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一時性 |
身体拘束その他の行動制限が一時的であること。一時性を判断する場合、利用者本人の状態像等に応じて必要とされる最も短い拘束時間を想定すること。
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※ただし、肢体不自由、特に体幹機能障害がある利用者が、残存機能を活かせるよう、安定した着座位姿勢を保持するための工夫の結果として、ベルト類を装着して身体を固定する行為は「やむを得ない身体拘束等」ではなく、その行為を行わないことがかえって虐待に該当するため、留意が必要である。
(3)日常的支援における留意事項
身体拘束等を行う必要性を生じさせないために、日常的に以下のことを取組む。
① 利用者主体の行動・尊厳ある生活に努める。
② 言葉や応対等で利用者の精神的な自由を妨げないよう努める。
③ 利用者の思いをくみ取る、利用者の移行に沿った支援を提供し、多職種協働で個々に応じた丁寧な対応をする。
④ 利用者の安全を確保する観点から、利用者の自由(身体的・精神的)を安易に妨げるような行動は行わない。
⑤ 万一やむを得ず安全確保を優先する場合、身体拘束等適正化委員会において検討する。
⑥「やむを得ない」と拘束に準ずる行為を行っていないか、常に振り返りながら利用者に主体的な生活をしていただけるよう努める。
(4)情報開示
本指針は公表し、利用者等からの閲覧の求めには速やかに応ずる。
3.身体拘束等廃止に向けた体制
(1)身体拘束等適正化委員会の設置
身体拘束の廃止に向けて身体拘束等適正化委員会を設置する。
(2)身体拘束等の適正化のための対策を検討する委員会を3月に1回以上開催するとともに、その結果について従業者に周知徹底を図る。なお「虐待防止委員会」と同時に開催することもできるものとする。
①設置目的
(ア)事業所内での身体拘束等廃止に向けての現状把握及び改善についての検討
(イ)身体拘束等を実現せざるを得ない場合の検討及び手続き
(ウ)身体拘束等を実施した場合の解除の検討
(エ)身体拘束等廃止に関する職員全体への指導
②委員会の構成員
委員会は上記構成員をもって構成するほか、必要に応じてその他職種職員を参加させることができることとする。
※外部の有識者(第三者・専門家)を加えることも可。
(3)やむを得ず身体拘束等を行う場合の対応
本人又は他利用者の生命又は身体を保護するための措置として緊急やむを得ず身体拘束等を行わなければならない場合は、以下の手順をふまえて行うこととする。
(ア)利用前
① 事前の情報で緊急やむを得ず身体拘束等を必要とする場合は身体拘束等適正化委員会にて協議する。
② 身体拘束等の内容、時間等について、個別支援計画等に記載し、利用者及び家族に対し現場責任者が説明を行い、「身体拘束・行動制限に関する説明書」(様式1)にて同意を得る。
(イ)利用時
利用中の経過から緊急やむを得ず身体拘束等を必要とする場合は、身体拘束等適正化委員会において実施件数の確認と身体拘束等をやむを得ず実施している場合(解除も含む)については協議検討し、議事録に残す。
(ウ)身体拘束等の継続と解除
① 身体拘束等を行っている間は日々経過観察を行い、「緊急やむを得ない身体拘束に関する経過観察・検討記録」(様式2)を用いて、身体拘束発生時にその態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由その他必要な事項を記録する。
② 身体拘束等適正化委員会において協議し、継続か廃止かの検討を行う。
③ 身体拘束等継続の場合は、引き続き日々の経過観察を行い、「身体拘束経過記録」(様式3)に記録する。
④ 身体拘束等解除の場合は即日、現場責任者より家族に身体拘束等解除について説明し同意を得る。
(エ)緊急時
① 緊急やむを得ず身体拘束等を行うときは、職員同士で協議し緊急やむを得ない理由をケース記録に記録する。その後の事は身体拘束等適正化委員会において協議する。
②家族への説明は翌日までに現場責任者が行い、同意を得る。
4.身体拘束等に向けた各職種の役割
身体拘束等の廃止のために、各職種の専門性に基づくアプローチから、多職種協働を基本とし、それぞれの果たすべき役割に責任を持って対応する。
事業者責任者:松澤 亮
身体拘束廃止・適正化の検討に係る全体責任者:安岡しずか
(事業所管理者)
① 身体拘束等適正化委員会の統括管理
② 支援現場における諸課題の統括管理
③ 身体拘束等廃止に向けた職員教育
(現場責任)
① 家族、相談支援専門員との連絡調整
② 本人の意向に沿った支援の確立
③ 施設のハード・ソフト面の改善
④ 記録の整備
(従業者)
① 拘束がもたらす弊害を正確に認識する。
② 利用者の尊厳を理解する。
③ 利用者の疾病、障害等による行動特性の理解
④ 利用者個々の心身の状況を把握し基本的ケアに努める
⑤ 利用者とのコミュニケーションを充分にとる
⑥ 記録は正確かつ丁寧に記録する
5.身体拘束等廃止・適正化のための職員教育、研修
支援に関わる全ての職員に対して、身体拘束等廃止と人権を尊重したケアの励行を図り、職員研修を行う。
① 年間研修計画に基づく定期的な教育・研修(年1回以上開催)の実施。
② その他必要な教育・研修の実施。
③ 上記教育・研修の実施内容については記録を残す。
附 則
この指針は、令和6年4月1日より施行する。
個人情報保護方針
〇法律の遵守と個人情報保護規程の管理・改善
一般社団法人高知在宅ケア支援センター(以下、当法人という)は、個人情報の保護に関する法律及び関連する法律等を遵守し、さらに個人情報保護規程を作成し、それに基づいて利用者の情報を管理します。この個人情報保護規程は、適時見直し継続的な改善を行います。
〇個人情報の適正な取得と利用目的の明示
当法人では、利用者の個人情報を適正に取得し、その利用目的に関しては、患者に予め明示しています。
〇個人情報の適正な取り扱いと職員教育
利用者の個人情報を適正に取扱うために、責任者を置き、職員教育を行っています。
〇個人情報の安全管理
当法人では、利用者の個人情報への不正アクセス、紛失、破壊、改ざん及び漏えいなどを防止し、安全で正確な管理に努めています。
〇信頼のおける業者等との契約
当法人では、システムの管理等を外部の会社等に委託する場合があります。この際、利用者の個人情報をこれらの業者等に知らせる必要があります。このような場合において、当法人では、信頼のおける業者等を選択するとともに利用者の個人情報が不適切に扱われないように契約を交わしています。
〇法律に基づく個人情報の第三者提供
当法人では、個人情報の保護に関する法律及び関連する法律等が例外として認める場合を除き、予め利用者の同意をえることなく、個人情報を第三者に提供することはありません。また、利用者の健康及び生命を守るために、運営上、個人データを第三者に知らせる事が求められる場合も、その必要性を吟味し利用者の個人情報を保護するよう努めます。
〇情報の開示
当法人では、個人情報保護の理念に基づき、原則的に利用者の要求に応じて個人情報を開示しています。また、法律の定めに基づき、訂正や利用停止にも対応します。
個人情報取扱事業者:一般社団法人高知在宅ケア支援センター 高知中央訪問看護ステーション 高知中央東訪問看護ステーション 高知中央居宅介護支援事業所 高知中央相談支援事業所 高知中央ヘルパーステーション
改訂 令和6年10月1日
個人情報の利用目的及び取り扱い(公表)
一般社団法人高知在宅ケア支援センター(以下、当法人という)は、個人情報の保護に関する法律及び関連する法律等に基づき、以下の事項を公表いたします。
〇取り扱う個人情報
当法人は、利用者からの利用申込みに基づき、利用者の氏名、住所、電話番号等の基本的情報に加え、主訴、家族歴、既往症、サービス提供内容、サービス提供期間、転帰、禁忌薬、アレルギー、その他サービス提供にあたって必要な情報を取得し、これらをカルテ等に記録し、取り扱います。
〇個人情報の利用目的
当法人は、利用者の個人情報を、医療、介護行為などの利用者サービス、医療、介護保険事務、事業所管理運営を目的に必要な範囲で利用します。
また、他の医療機関・薬局・介護事業者等との連携・照会・回答、意見照会・助言の聴取、システム管理業務などの委託、ご家族に対するサービス利用状況の説明、保険事務の委託、審査支払機関・保険者へのレセプトの提出と照会・回答、賠償責任保険などに係る医療、介護専門団体・保険会社等への相談・届出を目的に必要な範囲で利用します。
さらに、医療、介護サービスや業務の維持・改善のための基礎資料、学生の臨床実習、症例研究、外部監査機関への報告を目的に必要な範囲で利用いたします。
〇個人情報の共同利用
当法人は、共同してサービス提供を実施するため、利用者の氏名、住所、電話番号等の基本的情報に加え、主訴、家族歴、既往症、サービス提供内容、サービス提供期間、転帰、禁忌薬、アレルギー、その他サービス提供にあたって必要な情報を、当法人の事業所間で共同利用する場合があります。共同利用にあたっては、個人データ管理者である一般社団法人高知在宅ケア支援センターが責任を負います。
一般社団法人高知在宅ケア支援センターが運営する事業所:高知中央訪問看護ステーション 高知中央東訪問看護ステーション 高知中央居宅介護支援事業所 高知中央相談支援事業所 高知中央ヘルパーステーション
〇開示・訂正・利用停止・苦情の申し出先
個人情報の開示・訂正・利用停止の要請や、苦情・意見は、下記までお願いします。なお、サービス提供記録の謄写費用は1枚20円、立ち合いによる閲覧費用は30分3,300円となります。
以上に関して、意思表示のない場合には、同意があったものとして取扱いを行います。
なお、同意しがたいものがある場合は、相談窓口(088-854-7767)までご連絡下さい。また、患者の同意及び不同意は、いつでも変更することが可能です。
改訂 令和6年10月1日